東芝子会社のウェスティングハウスが日本での民事再生法にあたる、連邦破産法11条の適用を裁判所に申請しました。
親会社の東芝は決算で7000億円を超える損失を計上する見通しで、経営再建のためウェスティングハウスの切り離しや米国原子力業界からの撤退を目指す方針を明らかにしました。
東芝グループの原子力開発を行う米国子会社
ウェスティングハウスは原子炉の設計、核燃料、制御と計測、サービスとメンテナンスなど、原子力に関連する広範囲な販売と関連サービスを業務とする多国籍原子力企業です。
旧ウェスティングハウス・エレクトリックのグループで独立した原子力企業であったが、2006年に東芝が購入し、東芝グループの一部となっていました。
世界初となる最新型の原子炉の開発を行い米国原子力規制委員会の最終承認を受けたことでも注目されていました。
受注原発の工事が遅れて、莫大な損失が発生
半導体や家電が主力事業だった東芝が、大量の原子力関連特許と技術を保有したウェスティングハウスを買収することで、世界の原子力市場の中でもトップクラスの存在感を手にしました。
しかし、その金の卵を産ませるつもりだったウェスティングハウスが、2008年に受注した原子力発電所の工事が遅れて、損失が雪だるま式に増加しました。
2016年度にウェスティングハウスが出した損失は7000億円を超えて、東芝はさらなる損失の増加を恐れて、株式の半数以上を売却するなどして、連結決算の対象から外しました。今後のリスクを回避するため、米国原子力事業から撤退する方針を明らかにしています。
東芝グループ維持のため、半導体部門の身売りも検討
一度は銀行が融資を継続する移行で落ち着いていた東芝本体も、一部の銀行が懸念を示したことで、融資を引き上げる可能性が出てきました。東芝は3月末までの追加融資を求めて、主力銀行はそれに応じていました。
それでも、虎の子の半導体部門の株式の売却などを検討しています。不正問題からの立て直しを図る中、ウェスティングハウスの損失を穴埋めするために、身売りの検討を始めています。
国内市場への影響を考えると容易に潰れるとは思えませんが、今後の成長は期待できないでしょう。
ライター:vkm 編集:moz